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0.1 私は医者ではない

最初に、はっきりさせておきたいことがあります。

私は医者ではありません。カウンセラーでもありません。資格は何も持っていません。ギャンブルが身近にある家庭に育ち、大学時代にギャンブルを覚え、社会に出てからの十数年間、ギャンブルに漬かり続けた、ただの当事者です。

だからこの本には、治療のことは書いてありません。診断もできませんし、薬の話もしません。ギャンブル依存は病気です。病気なのですから、治療するには病院に行くのが普通です。もしあなたが今すぐ専門の助けを必要としているなら、この本を閉じて、先にそちらへ行ってください。この本はいつでも読めますから。

この本に書いてあるのは、二つだけです。私が実際にやめ続けるために実践していることと、その考え方です。

0.2 「もう無理だ」の日

私がギャンブルをやめる転機を迎えた日のことを書いておきます。

それは、立派な決意ではありませんでした。ある日、私はパチスロで10万円を超える大負けをしました。月末の支払いやら何やらで、ひどく動揺している最中に、身内から、金を貸してほしいと連絡が来たのです。ギャンブルに苦しめられているのは、私一人ではありませんでした。負けた金のこと、無心してきた身内のこと、ギャンブルに漬かり続けたこれまでのこと——負の感情がぐちゃぐちゃになって、心の底から「もう無理だ」と思いました。

その日、私は財布に入っていたパチンコ店の会員カードを、投げ捨てました。いま思えば、あれが私の最初の「対策」でした。感動的な話ではありません。いわゆる「底についた」だけです。

ただ、断っておきたいことがあります。底についたという確証は、ありません。そもそも、簡単に「底についた」と口にすることに、私は抵抗があります。あれが本当に底だったと証明されるのは、この先、人生の幕を閉じるまで一切のギャンブルをしなかったときです。つまり、生きているうちは証明できません。

その日からの日々で、私は「どうすればやめられるか」を必死で考え、文章にして、公開しました。同じ苦しみの中にいる人たちと出会い、コミュニティを運営し、何年もやめ続けてきました。その全部から分かったことを、これから書いていきます。

0.3 この本の道すじ

先に、この本の道すじをお見せしておきます。

前半(第1章〜第3章)では、敵を知ります。ギャンブルとは何か。依存とはどういう病気か。そして、なぜ意志では勝てないのか。ここをはっきりさせます。

中盤(第4章〜第7章)では、戦い方を変えます。意志ではなく、工夫で。「やめる」のではなく、やめ続ける。対策をどう重ね、偽物の対策をどう見抜き、どう最初の一歩を踏み出すか。ここが、この本の背骨です。

後半(第8章〜終章)では、一人の戦いを終わらせます。借金、仲間、家族——あなたを取り巻くものを、敵から味方に変えていきます。そして最後に、やめ続けた先に何があるのかをお見せします。

回復には、順番があります。ですから、できれば頭から読んでみてください。

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