本書は全文を無料で公開しています。目次はこちら

10.1 家族は、何一つ悪くない

私たちは、家族にたくさん嘘をついて、悲しませてきました。

そして私は、ギャンブルをやめる方法を調べる過程で、初めて知りました。家族には、家族の苦しみがあるということを。それまでの私は、苦しいのは自分だと思っていました。正確に言うと、自分のことで頭がいっぱいで、家族の気持ちにまで気が回らなかった、というところです。

私は、ギャンブルをやめられない理由、ギャンブルをしてしまう理由の一部を、家族のせいにしていました。しかし、それは、いまギャンブルをやめている私が過去の自分を思い返してみれば、まるで賛同できない考えだった、ということです。

家族は、何一つ悪くありません。ギャンブルに負けた理由を、家族のせいにしていませんか?家族がくれるお小遣いが少ないことを、ギャンブルをする理由にしていませんか?ギャンブルで作った借金を、家族のせいにしていませんか?

そして最後に——ギャンブルをやめられない理由を、家族のせいにしていませんか?「自分はやめようと頑張っているのに、疑われるのがストレスだ」——そう言っていませんか?

あなたが苦しいのは、分かります。ですが、冷静に考えれば、すぐに分かるはずです。お小遣いが少なくても、賭けない人は、賭けません。疑われるのは、疑われるだけのことを、してきたからです。家族の不信も、監視も、少ないお小遣いも——すべて、あなたのギャンブルの「結果」です。この病気の原因と呼んでいいものは、一つだけ。あなたの中にいる、病気です。家族の中には、いません。つまり、原因は自分の中にあると自覚すること——それが病気の自覚となり、回復をまた一歩、進めてくれるのです。

10.2 家族の「冷たい対応」は、正しい対応

やめようとする過程で、あなたは家族から、冷たく感じる対応を受けるかもしれません。肩代わりを断られる。財布を管理される。「次にやったら離婚する」と線を引かれる。見捨てられたと感じるかもしれません。でも、知っておいてください。それは、この病気への正しい対応です。つまり、あなたが病気から回復するために、求められる対応なのです。

肩代わりを断るのは、あなたを突き放すためではありません。第8章で書いたとおり、肩代わりは次のギャンブルの土台を作るからです。先回りして病院を予約しないのは、冷たいからではありません。本人が動かなければ、この病気は動かないと知っているからです。線を引くのは、脅しではありません。家族が自分自身とお子さんを守るための、柵です。あなたの幸せのために、家族とお子さんが不幸になっていいはずが、ありません。それほど、家族にとって必要な線引きなのです。

もしあなたの家族がこうした対応を取ったら、責めずに、こう考えてください。家族は、病気への向き合い方を、正しく学んでいるのだと。そして、その対応に乗ってください。管理を受け入れ、線を尊重する。さらに、自分からも対策を見せていく。「もうやらない」と言う代わりに、ギャンブルをしない日数を積み重ねていく。言葉ではなく行動で示すこと——それが、壊れた信用を積み直す、唯一の道です。

10.3 家族には、あなたを見放す自由がある

最後に、一番厳しいことを書きます。

家族は、あなたを支える道具ではありません。家族には家族の人生があり、それ自体が守られるべきものです。あなたの回復のために家族が壊れるのは、あってはならないことです。お子さんがいるなら、なおさらです。そしてそれは、あなた自身が望んでいることでも、ないはずです。

だから、家族が自分の生活を最優先にしても、あなたと距離を取っても、最終的に離婚という判断をしても——それは裏切りではありません。この病気が、それほどのものだったということです。

だからこそ、家族がまだ隣にいてくれるのなら、それは当たり前ではありません。そばにいてくれるうちに、対策を積んでください。

← 前の章 目次 次の章 →