本書は全文を無料で公開しています。目次はこちら

11.1 取り戻したもの

私は今現在、何とかギャンブルをやめられています。

最近、少し大きめのファミリーカーを購入しました。妻が欲しいと言っていた車です。もちろん現金で購入する余裕はなかったので、ローンです。ローンが通るか不安でしたが、なんとか通りました。

社会的信用というものは、失うときは一瞬で、戻るときは何年もかかります。でも、戻るのです。やめ続けてさえいれば、戻ります。

そして、一度きりの人生で、子どもと家族との人並みの思い出を作ることができています。それが、何よりも嬉しいのです。

さらに私は、やめた先で、会社を作りました。ギャンブルで苦しむ人を減らすための会社です。賭けていたころの私からは、想像もつかない場所に立っています。やめていなければ、決して至らなかった境地です。

いま、私は自分の人生を取り戻しつつあると、実感しています。そして、本当にやめようと思えて、幸運だったとも思っています。あのとき、やめようと思えていなかったら——今の家族との生活は、なかったでしょう。

もしかしたら、自分はもう遅いと思っている人がいるかもしれません。ですが、遅くないのです。お金は、ギャンブル以外の方法で取り返せます。信用は、ギャンブルをやめれば、自ずと回復します。

もしすでに、家族と離れ離れになっているのなら、ギャンブルをやめ続けた日々を胸に、もう一度会いに行けばいいのです。許してもらえるかどうかは、分かりません。それを決めるのは、相手だからです。でも、あなたには、言葉より確かなものがあります。積み重ねた、賭けなかった日々です。それを見せられる自分になっている——それ自体が、あなたが取り戻したものなのです。

11.2 連鎖を、断ち切る

ギャンブルの苦しみは、まったく違う形で、あなたに再び襲いかかる可能性があります。つまりは、あなたの子どもがギャンブル依存になってしまう、ということです。せっかく大学に入った子どもが、ギャンブル依存になって中退し、ギャンブルに苦しむ人生を歩み始める。借金の肩代わりを、求められるかもしれません。それでギャンブルの問題が解決すればいいのですが、そうならないことは、私たちが一番よく知っています。

だから、遠い未来、自分の子どもがギャンブル依存にならないように、ここで、ギャンブルの呪いを断ち切っておくのです。あなたの頑張りは、子どもの未来に直結しています。

そして、このギャンブルの連鎖は、家の中だけの話ではありません。友人や、職場の同僚、後輩を、ギャンブルに誘わないでください。ギャンブルを人に教えるという行為は、想像している以上に、罪深いことかもしれません。あなたが軽い気持ちで教えた誰かが、あなたと同じ十数年を失うかもしれないのです。

11.3 最後に

最後に、この本のすべてを一行にまとめます。

やめ続けてさえいれば、失ったものは取り戻せます。ともに、やめ続けていきましょう。

← 前の章 目次 次の章 →