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8.1 借金とギャンブルは、別の問題
ギャンブルの問題には、たいてい借金の問題がついてきます。だから、はっきり分けておく必要があります。
はっきり言うと、借金とギャンブルの関係は、一方通行です。「ギャンブルをやめる」という問題は「借金の問題」に直結しますが、「借金の問題」を解決しても、「ギャンブルをやめる」ことには、つながらないのです。
それなのに、「借金さえ返せば、全部解決する」と思っていないでしょうか。はっきり言って、それは幻想です。私も、そうでした。ギャンブルで生活が苦しくなり、いよいよ自分だけでは対応できなくなったとき、「もう懲りた。楽になりたい。もうギャンブルはしない。助けてくれ」——そういう気持ちになります。そして、「助けてほしい」と打ち明ける。そのときのあなたは、自分はもう完全にやめられる状態だと、確信しています。でも、ここまで読んできた人には、分かるはずです。それは、幻想です。しかも、打ち明ける段階のあなたは、もうどこからもお金を借りられないので、そもそもギャンブルができません。その状態が「もうやめられる」という幻想に拍車をかけて、見誤らせるのです。
順番が逆なのです。ギャンブルをやめていない人が借金だけ返すと、何が起きるか。空いた枠で、また借りるのです。私はその実例を、自分を含めて何人も知っています。返してまた借りるのが、この病気です。
だから、先にやることは一つ。実際にギャンブルをやめる体制を、先に作ることです。借金の返済計画は、その土台の上にしか立ちません。
8.2 焦って、返さない
「利息がもったいない。早く返さなければ」と焦る気持ちは分かります。でも、焦って返済を最優先にして、生活を切り詰め、ストレスを溜め、スリップして振り出しに戻るのが、一番もったいないのです。まず、確実にやめる自分を作る。返すペースを上げるのは、それからで大丈夫です。
そもそも、借入できる金額は、基本的にあなたの収入に応じて決まります。貸し手の側も、返済が無理な金額は貸してくれません。つまり、基本的には、頑張れば返せる金額になっているのです。だから当面は、無理のない範囲の返済額で構いません。焦る必要はないのです。リボ払いの利息も、気にしなくていい。リボ払いの本当の恐ろしさは、利息の高さではありません。枠の範囲で簡単に借り直せてしまう仕組みのせいで、私たちの残高はなかなか減らないこと——そちらが本体です。
「でも、返済額の半分が利息なんて、もったいない」と言われそうですが、その利息は、ギャンブルに使ってきた金額と比べれば、誤差のようなものです。ずっと最低額で返せと言っているのでもありません。段取りがついて、やめることに自信がついてきたら、毎月の返済額を少し増やしていけばいい。
見方を変えれば、借金があるという事実は、あなたを新たな借金から守ってくれます。そう考えれば、利息は、治療費として捉えることができるのです。
誤解のないように言っておくと、「気にしなくていい」は「知らなくていい」ではありません。焦りは、要らない。でも、把握は、要る。面白いことに、焦って返したがる人は決まって利息の話をしますが、「このままだと利息を総額いくら払うのか」を実際に計算した人を、私は見たことがありません。計算しないまま、「利息はもったいない」という固定観念に囚われて焦り、そのストレスでスリップする。——であれば、計算すればいいのです。
まず、全容の把握から。あなたは自分の借金の総額を、正確に言えるでしょうか。どこから借りているかは分かっていても、それぞれから、いくら借りているのか。合計すると、いくらになるのか。ここを正確に言える人は、意外と少ないのです。全容の把握とは、これを解消することです。借入先ごとの残高を、アプリや明細で確かめて、合計を出す。それだけです。
とはいえ、借金の全容の把握は、とても怖い行為です。これまでの自分の行いと、正面から向き合わなければならないからです。しかし、その全容が分からなければ、返済計画は立てられないのです。
その上で、計算です。手前味噌ですが、私が開発した借金計算アプリ「moneyMORE」をおすすめします。多重債務の管理のために作ったアプリで、返済シミュレーション機能があります。毎月あと1,000円多く返したら、返済期間と利息の総額はどれくらい変わるのか——借金の規模にもよりますが、試算してみると、思った以上の違いに驚くはずです。恐れの正体は、たいてい「無知」です。知れば、恐れは消せるのです。
8.3 借金の肩代わりは、絶対のタブー
借金を、肩代わりしてもらってはいけません。これは、絶対です。——ですが、残念なことに、「肩代わりはしないほうがいい」という私のアドバイスを聞いて、実際に肩代わりを思いとどまった人を、私は見たことがありません。それでも、書きます。
結論をまず先に書くと、借金の肩代わりは、あなたにとって良い方向に働きません。
なぜダメなのか。それは、再びギャンブルで借金を作る可能性が高いからです。肩代わりは、「もう二度とギャンブルをしない」という前提の上でしか成り立ちません。でも、第3章で書いたとおり、ギャンブルをしてしまう確率は、どうしても0にはなりません。その時点で、前提が成立しないのです。
考えてみてください。家族に肩代わりを頼む理由は、何でしょうか。「利息がもったいない」は、先ほど書いたとおりです。「借金のストレスでギャンブルをしてしまうから」——これも、よく目にする理由です。借金のストレスが、トリガーになってしまうということです。実際、あなたにとっては、そうなのかもしれません。ですが、今一度、思い直してください。確実にやめられる確証がない以上、その先にあるのは、さらに借金を重ねて、本来家族が自分たちのために使うはずだったお金を奪う行為です。
そして、こちらから頼まないだけではありません。家族の側から申し出られても、自分の意思で断らなければいけません。好意には、すがってしまいそうになりますよね。でも、肩代わりの前提となる「もう二度としない」は、確証のない幻想です。あなたと家族のために——肩代わりはせず、援助を受けるとしても最低限にとどめる。それが、本当のベストです。
8.4 債務整理について
ギャンブルで作った借金を債務整理する——この界隈では、切っても切り離せない話題です。
借金とギャンブルの問題は、一方通行であると書きました。つまり、債務整理によって借金の問題を解決しても、あなたのギャンブルの問題が解決されるわけではない、ということです。
それを踏まえて、結論をまず書くと——債務整理は、しないほうがいい、ということです。
もちろん、借金が膨らみすぎて、そもそも返せない。体を壊して、返済を続けられない。そうした理由での債務整理は、当然すべきだと思います。つまり債務整理は、「するかしないか」を選択するものではなく、「せざるを得ないからする」ものなのです。
だから、生活を少し切り詰めて、一定の期間頑張れば返済できる程度の借金であれば、債務整理すべきではないのです。ブラック期間中は新たな借入ができないので、その間は金銭面でギャンブルから守られるかもしれません。でも実際には、どこかから借りたり、そもそもギャンブルがやめられないままズルズルと続けて、自己破産したのにまた借金——という話は、よくあるのです。そして、「こんなことなら、債務整理しなければよかった」と後悔する。私が見てきた限りでは、そういう人が多いように見えます。
なお、本当に生活が立ち行かないときは、ためらわずに専門家を頼ってください。自治体には、無料の相談窓口があります。法テラスでも、収入などの条件を満たせば、無料で法律相談ができます。債務整理をするかどうかを最終的に決めるのは、あなた自身です。弁護士や司法書士は、そのための材料と助言をくれる専門家です。ただし、どの道を選ぶにしても、大前提は同じです。ギャンブルをやめ続けていること。それがなければ、どの手続きも意味を失います。